鍼治療の適応症「緑内障」

 鍼灸治療が得意とする適応症の一例「緑内障」についてご案内します。治療をお考えの方、ご参考にしてください。

緑内障

 緑内障は、何だかの原因で視神経が障害されて視野が狭くなる病気です。かつてはお年寄りの病気と考えられていましたが、近年のさまざまな調査から、40歳頃からはだれにでも発症の可能性があることがわかってきました。

 以前は、眼圧の上昇が緑内障の最大の原因とされてきました。ところが実際には、正常眼圧であっても緑内障になるケースが多いことがわかり、現在では緑内障全体の70%以上を正常眼圧緑内障が占めるほどになっています。 厚生労働省研究班の調査によると、緑内障は日本の失明原因の第1位です。
 2007~2010年に視覚障害認定を受けた原因疾患でも、緑内障は21.0%で1位となっています。 日本緑内障学会が行った大規模調査によると40歳以上の日本人における有病率は5.0%で、40歳以上の20人に1人は緑内障にかかっているということになります。しかし、緑内障患者の9割は、自身では緑内障と気付いていない潜在患者だといわれています。

房水と眼圧

 目の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ、房水と呼ばれる液体が流れています。目の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧と呼びます。
 一般に眼圧が高くなると、視神経が圧迫されて、障害を起こしやすくなります。 眼圧の正常範囲10~21mmHg

緑内障の種類

 眼圧が高くなる原因によって分けられています。
緑内障というと眼圧が高いと思われがちですが、日本人の緑内障で最も多いタイプは、正常眼圧緑内障です。緑内障全体の70%以上を正常眼圧緑内障が占めています。

●原発開放隅角緑内障

 房水の出口である繊維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。
ゆっくりと進行していきます。

●正常眼圧緑内障

 開放隅角緑内障に分類されます。眼圧が正常の範囲であっても、視神経の状態には個人差があり、眼圧や周辺の血液循環の悪化などが影響して、発症すると推測されています。

●原発閉塞隅角緑内障

 隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。

●発達緑内障

生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。

●続発緑内障

 外傷、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

緑内障の症状

 一般的には自覚症状はほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることが 多くあります。
視神経の障害はゆっくりとおこり、視野も少しずつ狭くなっていくため、気付いた時にはかなり進んでいることもあります。
急性の緑内障では急激に眼圧が上昇し目の痛みや頭痛、吐き気などを感じることがあります。

緑内障の検査

 眼圧検査、眼底検査、視野検査等で診断されます。
障害を受けた視神経は元にはもどりません。40歳を過ぎたら眼科検診を定期的に行い、早期発見に努めましょう。

緑内障の治療

 治療には主に、房水の生成をおさえたり、排出をうながすための点眼薬が使用されます。
 点眼薬による治療の目的は、発症時の眼圧を20~30%下げた状態を維持し、緑内障が悪化しないようにすることです。
 正常眼圧緑内障の場合でも、眼圧を30%程度下げると、約80%の方に進行抑制の効果がみられます。ただし、点眼薬によっては、心臓病や喘息などに影響を与えるものがあるので、医師とよく話し合っておくことも必要です。
 点眼薬でどうしても効果がみられない場合には、レーザー治療や手術といった方法もあります。

日常生活で気をつけること

●40歳をすぎたら緑内障の検査を受けるようにしましょう。また、高齢になるほど発症率も高くなるので、定期的にチェックしていくと安心です。

●眼圧は、血圧と似た面があります。ストレスを受けたり、目の疲れがたまると、一時的に上昇しやすいのです。
 眼圧が上昇するような生活をくり返していると、視神経も傷つきやすくなります。 ストレスと目の疲労をためないように心がけ、睡眠をきちんととり、ときどき気分転換をしましょう。

●パソコン画面などを長時間見つめ続けることも、眼圧上昇につながるので注意しましょう。

 40歳を過ぎたら眼科検診を定期的に行い、早期発見・早期治療に努めましょう。
 当院では、このような緑内障に対して眼科と連携することを基本とし、鍼施術により全身の調整と局所の血流改善を行うことで、症状の緩和をはかり、緑内障の進行をできるだけ遅らせるような鍼をさせて頂いております。

 


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